まずは概要を確認
フレイルとは
フレイルとは、「高齢による衰弱」のことを指します。誰もが高齢者になっても元気に日々を過ごしていきたいと思うものですが、中年期以降になると身体の機能が変化し、環境変化に対する適応能力の低下や機能喪失の機会が多くなっていきます。筋肉や各臓器、器官の機能低下が進み、自立した生活の妨げになるのです。加齢を要因とした心身の虚弱化はすべての人間が抱える問題であり、完全に食い止めることはできません。
加齢による身体機能の低下は、歩行障がい、転倒、閉じこもり、認知機能の低下、うつ、睡眠障がいなどの老年期症候群の引き金にもなり、一見日常生活に支障がないように思えても、各臓器の機能が低下することにより、身体的・心理的なストレスに対処する能力が低下するおそれがあります。フレイルは多くの高齢者が要介護状態に移行する原因であり、介護予防の観点からも重要な位置付けにあります。
高齢になればなるほど増加
高齢者のフレイルは年齢が高くなればなるほど割合も高くなります。男女比でいうと、女性のほうが多いようです。ある調査によれば、対象者の16.3%がフレイルと判定され、3年間追跡した際の新たなフレイル発生率は14.8%となっています。さらに、フレイルと判定された高齢者の2/3が何らかの疾患を抱え、そのうち1/4は日常生活に支障を与える機能障がいを持つことが判明しました。近年、高齢化が進む日本において、高齢者を取り巻く医療や介護の状況は大きく変化しています。健康寿命を延ばすと同時に医療費の抑制を実現するためには、疾病に対するアプローチだけでなく、機能障がいのリスクを早期発見し、予防していく取り組みが求められます。
フレイルの原因
フレイルの判定項目は5つあります。「筋力の衰え」「歩行速度の低下」「活動量の低下」「疲労」「体重減少」のうち、3つ以上に該当した場合にフレイルと判定されます。関連する要因としては、「加齢」「慢性疾患」「低栄養」などが挙げられますが、完全なメカニズムについては解明されていないのが現状です。
また、肥満と健康状態の関連性も挙げられます。肥満度・痩せすぎの数値を測るBMIの標準値である22前後の体重が、最も病気の発生率が低いです。体重の変動が激しい場合も健康に悪いとされています。体重の減少が続く場合、何らかの病気が原因である可能性が高いため、日常的に体重を計測し変動がないかを調べることも大切です。
まとめ
以上がフレイルの概要です。これらの要因が複合的に作用し、身体能力が十分に発揮できなくなることで、介護を必要とする状態に陥ります。転倒・骨折のリスクも高くなり、最悪の場合は命にかかわります。
介護職として携わる人へ
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サポートする側が意識すべき点
更新日高齢者をサポートする側が意識すべき点を紹介します。心身共に弱っている高齢者をサポートするためには、安全面・生活面に十分配慮しながらフレイル予防に取り組み、積極的にコミュニケーションを図りつつ状態を観察する必要があります。
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その他の方法
更新日栄養士によるサポートや運動療法による身体機能の維持の他にも、フレイル予防に効果のある方法を紹介します。持病を持つ高齢者は症状の状態を鑑みながら、自身に適した療法を用いてフレイル予防に取り組む必要があります。
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診断基準とリスク
更新日フレイルの診断基準は、「意図せず体重が年間で5キロ以上減少する」「何をするにも面倒だと感じる日が週に3~4日以上ある」「歩く速さが遅くなる」「握力が弱くなる」「運動をする機会が減り、身体活動量が低下している」の5項目です。